羊山公園やその北側にある聖地公園に利用されている羊山丘陵は、荒川の侵食によってつくられた河成段丘のうち、約13万年前に形成された中位段丘にあり、厚さ数m ~ 20mの羊山礫層と、それを覆う関東ローム層から構成されています。尾田蒔丘陵の北部も中位段丘にあたります。
羊山公園内の北側にある「見晴しの丘」からは、秩父市街地と尾田蒔丘陵(高位段丘)、奥秩父の山々が一望できます。また、園内南側にある「芝桜の丘」には、40万株を超える芝桜が約1万7600㎡にわたって植栽され、秩父の春の人気観光スポットとなっています。園内には他にも見どころが多く、市民の憩いの場として人気です。
もともと羊山公園は、「日本公園の父」であり日本初の林学博士でもある本多静六博士の設計によって整備されました。博士は日比谷公園や明治神宮の森など多くの公園を設計したことで有名です。昭和11年(1936)の「秩父公園計画概要」(当初、公園の名称を「秩父公園」として計画していた)における設計図では、現在の羊山公園よりも規模が小さいものの、自然を活かした公園が描かれており、見晴しの丘も含まれています。
戦前、当地には埼玉県種畜場秩父分場があり、綿羊を飼育していたことから、一帯を「羊山」と呼ぶようになったようです。公園内にある羊山センターの近くには「埼玉緬羊発祥之地」と刻まれた石碑があります。現在も、芝桜の丘の隣にある「ふれあい牧場」では羊が飼われています。