「盆地にも 今日は別れの本野上 駅にひかれるたうきびの穂よ 宮沢賢治」の歌碑のある秩父鉄道の野上駅から荒川に向かいます。多宝寺の北の道をたどり、川べりに下ると荒川の左岸に出ます。
ライン下り終点の船着場の手前、道路左側の岩を探すと、幅10~20cmの白い脈が数mにわたって何本も並んだ模様が見られます。雁が連なって飛んでいく光景を連想させることから「雁行脈」と呼ばれています。
雁行脈は、地下深くから岩石が上昇してくる過程で生じた亀裂です。亀裂の隙間を、周囲の岩石から浸み出した白い石英や方解石が埋めています。黒い泥質片岩には右下がりの「ミ型」(白い部分は主に石英)、緑色片岩には右上がりの「杉型」(白い部分は主に方解石)が見られます。雁行脈の中心を貫く断層を境に、左右がずれてS字状の形になっているものもあります。