西武鉄道「西武秩父駅」には、かつて秩父農工高等学校がありました。現在、秩父市大野原にある「秩父農工科学高等学校」の前身です。駅前のランドマークである大きな落葉針葉樹「ラクウショウ(落羽松)」の下に学校の沿革史の碑がありますが、台座の石は茶色と白の混じりあった独特な石で、茶色い部分が火山灰が固まった凝灰岩、白い部分がサンゴ礁が起源の石灰岩です。ところどころに約3億年前のウミユリの化石も見られます。
明治以降、秩父の未来を担う産業人たちを育成してきた学びの地が、昭和44年(1969)、秩父と東京とを結ぶ鉄道の駅に生まれ変わったことは、秩父の主要産業がその後観光業へとシフトしていく象徴的な出来事であったように思われます。