秩父三社の1つ、三峯神社は標高1102mに鎮座しており、ヤマトタケル、お犬様信仰などの伝説が残る神社です。広大な境内は神聖な雰囲気に満ち、迫力のある随身門、樹齢800年といわれる御神木、きらびやかな社殿は一見の価値があります。近年は雲海スポットとしても注目を集めています。
三峯の名の由来は、南に高くそびえる雲取山、白岩山、妙法ヶ岳が美しく連なり、3つの峰を総称して呼ばれたことによるものと伝わっています。この山々は秩父帯のチャートや石灰岩などの硬い岩石からなり、切り立った高い山頂を形成しています。
熊野の那智山系にも、大雲取山や妙法山の名がありますが、秩父の信仰は、熊野の修験道と深くつながっているといわれています。秩父の大地を形作る秩父帯、四万十帯の地層帯は、南紀、四国、九州まで続いています。古くから遠い地域とつながっていた信仰の形が、同じ地質帯の上で形成された地形の類似性で成り立っていることを私たちに教えてくれます(P.35参照)。