例年2月下旬から3月中旬に咲くセツブンソウ。早春の節分の時期に咲くので「セツブンソウ」という名が付く花です。小鹿野町両神小森にある堂上節分草園は、約5000㎡の園地を持ち、群生地として日本有数の規模を誇ります。
セツブンソウは関東以西に分布する多年草で、春先、樹木が葉を広げる前に一斉に開花・結実し、夏には地上部が枯れる「春植物」の1つです。春植物は、他の植物に負けないよういち早く開花して光合成する必要があるため、植物が比較的生育しにくい環境が適しています。当地は秩父帯の砂岩泥岩互層にあたり、斜面から崩落した岩石が堆積して礫質になっており、落葉広葉樹林、北向き斜面、礫質で湿った土壌といったセツブンソウの生育条件を備えています。
自生地では、直径2cmほどの白く可憐な花が、まるで雪が積もったかのように咲き誇り、小さな春の訪れを告げます。準絶滅危惧種ですが、地元で保護され、広い自生地が守られています。毎年3月ごろには小鹿野町観光協会主催の「節分草まつり」が行われ、賑わいを見せます。