【学生による解説】
「塔婆」とは「卒塔婆」の略語で、サンスクリット語の「ストゥーパ」がルーツです。昔、釈迦の亡きあと、その遺骨を納めた塔(ストゥーパ)を建てて供養したのが始まりです。それが日本に伝わり、簡略化され年忌法要などに用いられる板塔婆となりました。この野上下郷石塔婆(のがみしもごういしとうば)は応安2年(1369年)に建立され、高さ約 5 mに対して厚さはわずか13 cmであり、板石塔婆としては日本一の大きさです。
当町の仲山城城主が落城した際に荒川河原で討死し、その13回忌の供養のために芳野御前がこの塔婆を建立しました。この塔婆は結晶片岩(緑色片岩)と呼ばれる岩石で作られており、その薄く剥がれやすい性質から中世よりこのような石碑に用いられてきました。板石塔婆石材採掘遺跡も県指定旧跡となっています。