横瀬町町民会館の脇を丸山林道に向かうと、南に面した斜面に約330枚の棚田があります。ここは太古から人々が暮らし、縄文時代の遺跡が見つかっています。高篠山から流れ出る曽沢川の水を引き、武甲山を背景にゆるやかな傾斜地に広がる水田は、心癒す風景をつくりだしています。寺坂棚田は曽沢川・横瀬川に沿った河成段丘で、上部の標高は羊山と同じ約270m、下部は低位段丘の市街地と同じ高さです。荒川と違い奥秩父からの砂礫が運ばれてこない横瀬川の流域には泥質の土がたまり、水田に向いた土壌となりました。
曽沢川上流の高篠山は、海洋プレートや海底の火山活動でつくられた溶岩などが変成を受けてできた御荷鉾緑色岩類(みかぶりょくしょくがんるい)からできています。
棚田からは、縄文遺跡が見つかり、御荷鉾緑色岩を材料にして磨かれた石斧が出土しています。また、稲作の開始は鎌倉時代と考えられています。詳しくは横瀬町歴史民俗資料館で学ぶことができます。