埼玉と山梨を結ぶ国道140号は「彩甲斐街道」と呼ばれています。古くは「秩父往還」という武州と甲州・信州を結ぶ街道でした。
当地の往来を監視する目的で戦国時代に武田信玄によって設けられたのが栃本の関所です(国指定史跡)。警固を厳重にするため、少し下った麻生(あそう)に加番所も設けられました。栃本から右へ折れると白泰(はくたい)山を越えて信州へ、左へ行くと雁坂峠を越えて甲州に至ります。
栃本は、白泰山から東に延びる尾根の上の地すべりによってできたなだらかな地形に形成された集落です。尾根の北側の中津川の谷には秩父帯と四万十帯の境界があります。秩父帯の険しい地形に比べ、やや穏やかな地形の四万十帯の地域を古い街道は通過しています。