江戸幕府直轄領(天領)として発展した小鹿野の中心部に造られた建物であり、長い歴史を有する老舗中の老舗旅館であった「本陣寿旅館」。惜しくも旅館としての歴史は幕を閉じましたが、平成23年(2011)に小鹿野町の観光拠点施設として当時の面影を残して生まれ変わりました。小鹿野の古い街並みの中心地に位置し、郷土の歴史や文化を知ることができる人気スポットです。
旧寿旅館の当主の日記には、「盛岡高等農林学校生徒職員一行25人宿泊す」「9月4日 三田川村三山源沢(現・皆本沢)に向われ……」の記録があります。大正5年(1916)、盛岡高等農林学校の2年生であった宮沢賢治は地質巡検で秩父を訪れ、各所を巡っています。小鹿野観光交流館には宮沢賢治の展示もあり、賢治に思いを馳せて当時の足跡をたどることができます。