秩父市浦山の谷には、重力式コンクリートダムとしては全国で2番目の高低差(156m)がある浦山ダムがあります。堤体の上は広い遊歩道が整備され、ダム内にはエレベーターもあり、中にはダムの機能などを展示する堤体内ギャラリーが設けられています。ダム外側にある約500段もの階段はスリル満点です。また、ダムに併設されている浦山ダム防災資料館「うららぴあ」2階にはジオパーク秩父特設ギャラリーもあります。
ダムの堤体の上からは、秩父盆地を南から眺めることができます。浦山の谷の外に広がる盆地は、かつて約1700万年前から1500万年前に存在した「古秩父湾」の海の時代に堆積した地層で、今から約50万年前以降に荒川の侵食を受けてできた河成段丘です。正面には約50万年前に礫岩が堆積した一番古い段丘(高位段丘)である尾田蒔(おだまき)丘陵が見え、その奥には盆地北側の山々を望めます。
ダムがある場所は秩父盆地の南の端にあり、深いV字谷が刻まれている谷は秩父帯の硬い地層からできています。ダムの下には遠洋の海底でできた赤色のチャートや泥岩が見られます。チャートは放散虫というプランクトンの殻が堆積してできた石です。