荒川を横切る親鼻(おやはな)橋の上流右岸の大きな岩は、産出の稀な紅簾石片岩の露頭です。
紅簾石片岩は、マンガンを含むチャートなどからできたと考えられている深紅色の美しい岩石で、明治21年(1888)に小藤文次郎博士が世界で初めて報告しました。肉眼では紅簾石の結晶は見えませんが、親鼻橋下流のライン下り出発場所のジオサイト解説看板で紅簾石の岩石顕微鏡写真が見られます。ここでは、銀白色の鉱物「絹雲母」を含む絹雲母片岩も見られます。
岩の上には大きなポットホール(甌穴:おうけつ)があります。ここがかつて荒川の川底であったころ、硬い岩石が岩の窪みに取り込まれ、激しい流れによって回転し、岩を削ってできたものです。
岩の上のレンガの礎石は、古い親鼻橋がここにかかっていたころの橋台の跡です。この岩の下流側が国指定の名勝・天然記念物「長瀞」の指定地となります。