秩父華厳の滝は、落差約12mの崖を直線的に流れ落ちる美しい滝で、日光の華厳の滝にその形が似ていることから名付けられました。埼玉の「クールスポット100選」にもなっています。
赤い岩盤はチャートと呼ばれる岩石で、放散虫というプランクトンの骨格(二酸化ケイ素)が深海底で堆積した、たいへん硬いものです。
滝の下流の日野沢川沿いでは、小さな石灰岩や大きなチャートの塊が泥岩の中に混じっているのが見られます。周辺は、中生代ジュラ紀(約2億年~約1.5億年前)の付加体「秩父帯」にあたりますが、海洋プレートが海溝に潜り込むとき、海洋プレート上に堆積していた石灰岩やチャートがばらばらになって泥と混ざり、「メランジュ」と呼ばれる混在岩になりました。滝の岩盤のチャートも、東西約2kmの大きなメランジュの岩体の一部にあたります。