取方の大露頭から赤平川の上流へ向かうと、ようばけに至る途中、小坂下(こさかげ)の右岸に見事な褶曲が見られます。ここは「海底地すべりの跡(スランプ褶曲)」として秩父市の天然記念物にも指定されています。
褶曲とは、通常平行に積み重なっている地層がグニャリと曲がっている箇所をいいます。約1600万年前、この地が古秩父湾の海底であった時代、北側の山地が隆起して南側(秩父盆地の中心)が沈んでいくとき、まだ固まっていない海底の堆積物が地震などによって斜面をすべり落ちてできた「海底地すべり」によるもので、これによってできた褶曲を「スランプ褶曲」といいます。
札所33番延命山菊水寺から南に650mほどの車道脇に案内板があり、そこから川原に下りられますが、急坂でロープを伝って下りる箇所もあるので、無理をせずに自動車で左岸の藤六側に回りましょう。対岸からもよく観察できます。藤六側の上流へ歩いていくと、海底の泥を水流が削り取った跡である底痕(ていこん)・流痕(りゅうこん)や、滝を見ることができます。