山中白亜系(山中層群)の谷を遡る国道299号が群馬との県境に近づくと、右側に石灰岩の垂直な壁と2つの頂を持つ二子山が見えてきます。独立した岩山は秩父では珍しく、登頂するとヨーロッパアルプスのような感覚を味わえ、ロッククライミングを楽しむ人もいます。
二子山は秩父帯に属する石灰岩の山です。ここの石灰岩からは、直径5mmほどのフズリナ(紡錘虫)や、ウミユリなどの化石が見つかります。この化石から二子山の石灰岩は約3.2億年~約2.5億年前の古生代石炭紀からペルム紀にできたものであることがわかります。
秩父の山々の地層は石灰岩などから古生代の化石が発見されるため、かつては「秩父古生層」と呼ばれていました。しかし、周囲の砂岩泥岩互層から中世代ジュラ紀の放散虫化石が発見されたことから、遠い南洋でできた古生代の石灰岩などの岩石が海洋プレートとともに移動し、中生代ジュラ紀に大陸プレートに押し付けられたと考えられるようになりました。プレートの運動によってさまざまな地質現象を説明する学説を「プレートテクトニクス」といいます。(P.21)